ROUKAさんの動画を見て熱い話に心が動かされて書きたくなったので書いていきます。
まずは動画をご覧ください。
さて、前回2年半ぐらい前にも現地株について書きました。
あれから今どうなっているかというと、販売の方はあまり変わりなく、ヤフオクやイベントでは今でもゴロゴロと野生株販売は多くあります。
ただ消費者の考え方は大きく変わって来ていると感じています。
前に比べてSNSで山採りのベアルート株販売や、現地で採取が禁止されているのに何故か書類も発行されて正規で輸入されている、いわゆるグレーな株について敏感に反応していると感じます。
私は植物全般好きなので、YouTubeでよく塊根多肉系も見るのですが、発信をされている方の多くが実生株の魅力を発信するようにもなりました。
これは清廉潔白なものを求める時代の流れ的なものもありますが、植物をただ鑑賞して楽しむだけでなく、育てる楽しみに気付き、園芸の意識が芽生えて消費者の意識が変わっているのだと思います。
そこで一つ、よく現地株批判の話題が出る度に上がるのが、過去に現地株を買ったか否かという点。ROUKAさんは一つも持っていないと言うことですごいな思うのですが、必ずと言っていいほど「罪を犯したことのない者だけが石を投げよ」的なことに話がすり替わり、批判しにくい論調になりがちなのですが、それについて話したいと思います。
まず、こう色々と自分も現地株批判はしている訳ですが、前回の記事でも話している通り私も現地株に憧れ買っていましたし、業者として販売もしておりました。
ROUKAさんの動画で話されている通り、それは需要が少なく時代が違ったからというのと、自身の経験や技術が浅かったことが理由となります。
これも別の記事で書いたことですが、農園を立ち上げた理由が現地株の流通に疑問と様々な問題を感じ、なるべく自分が納得する形でこの趣味を続け広げていきたいというものです。
農園を本格的に立ち上げようと動き出した4年ほど前から、現地からの輸出が活発になり始めました。アリ植物でいうと、当時は皆無に近かったパプアからの輸入が現地とやりとりするだけで輸入できるようになったりと大きな変化がありました。
この時、すごい珍しいものが輸入出来ると嬉しく思ったのと同時に、自分がこんな簡単に輸入出来るということは、遅かれ早かれ多くの日本人が輸入し、現地株の消費が始まりそうだと感じました。アリ植物の販売業者としてトップを目指してそうなったのなら、そのトップがそのような販売をしていたら自分が望む世界にはならないし示しがつかないなと、その頃から現地株の販売をやめることにしました。
最初に屋号を持ってイベント出店し始めていた時から今年で10年ほどになりますが、わりと近年まで現地株は販売していたのです。
なのでこういった話をすると、昔は自分だってやっていたじゃないか、楽しんでいたじゃないかと言われますが、人は成長するし、時代も変わるんです。
環境保護の話題が注目される昨今こうした現地株の流通は批判されやすいのはしょうがないし、SNSで海外の高い文化レベルに触れるようにもなり人の考えが変わっていくのも自然な流れです。
私は良い流れだと思います。園芸はエゴで、自然保護自体もエゴなんだろうとは思いますけども、少しでも自然に負荷なく、趣味がなるべく真っ当に、自分の行いを肯定できて楽しめるように考えを変えていけばいいんです。
そもそも変わっていて希少で流通していない植物って、当たり前ですけど現地株由来しかないんです。だから珍しいんです。
ただ楽しければいい、趣味だから楽しみたい、こういった話題は目にしたくないというコメントも多く見受けられますが、そういったものに惚れて、自分のところで楽しみたいと思うのなら、その性質を理解して自分のエゴと向き合って悩み苦しむことから逃げてはいけないと思います。
農場には所狭しと現地株があります。それを元に生産している訳ですが、多くの矛盾が生まれ、その度に悩み、納得のいく落とし所を見つけて経営しています。
また、現地株の販売をやめると言うことは、輸入費用の回収が数年先になり非常にリスクがありました。当初の事業計画では、輸入株は枯死率が高いものの養生で生き残った半分を販売に回し、資金を回収して少しずつ増殖株で利益を出していくと言うものでした。
計画を変更し、今も融資を繋いで利益が出るところまで頑張って経営している状況です。
正直趣味でやっていたような心の底から楽しいと思える時は無いです。しかしそれが自分の責任だと思ってやっています。
なかなかこういったことって常には発信しにくいんですよね。特に販売側は他業者の関係とか色々で言いにくいところがあったり。(例えば自分がこうして批判すると他業者の営業妨害とか)
自分もROUKAさんの発信を利用してしまっていて申し訳なく思います。
でも常に問題に思って発信しなければいけない。言いにくいことを言ってくれている人のおかげで今また時代が変わろうとしているなと感じます。
特にこういうのは趣味家発信が一番響くと思います。動画は想いも伝わりやすくて良いですね。動画内で話されていた、現地株は誰しもが手に入るものではなく手が届かない存在のままでもいいと言うのはとても共感できます。でも現地株持ってる自分がそれ言っても響かないんですよね。色々難しいです。
どの業界でも本当に良いものだけが残るようになっています。ニッチな希少植物の販売業界も、ただそのものの価値だけに頼り切った右から左へ転がしてるような人が消え、真に植物や消費者や自然のことを想い考える人が残ってくれるようになればいいなと思います。