現地株や山採りについて

最近とても大株のレカノ(アリノスシダ)とかアリダマとかがよく出品されるようになりましたね。

ここではまず主にレカノとアリダマについて話します。(深夜テンションなので読みにくかったらすみません)
そもそも現地株( 野生株,山取り株,現地球 etc… 以下 現地株 )が難しいという話は前回のブログから。


私がどうしてもそういった株を売るのに抵抗があるのは大きく3つ理由があります。

まず第一に大株はリスクが高く管理しづらい。
第二に自生地の個体数が減りやすく乱獲に繋がりやすい。
第三に自分の目指す植物販売ではない、という理由です。

第一の理由

第一の理由ですが、まずアリダマに関してはほぼ間違いなく腐ると言っていいほど管理が難しいです。
大きい株であるほど重く、採取時と輸入時にダメージが大きく傷などから病気にかかりやくなります。
また、アリダマは株に見合った根が張らないと弱りやすいので数年に及ぶ長期間養生をしなければいけません。

大株ですと環境を用意するのも大変です。
温室などを持っていれば別ですが、室内管理の場合はどうしても空気が滞留する場所や見えづらく管理が行き届かない場所が増え、異常に気付きにくいです。
レカノの場合特大の大株になれば葉の長さは1mほどになります。環境が用意できなければどれだけ立派な根茎のものでも次第に萎縮して小さくなります。また、大株になれば黒い根茎の部分が多くなりますが、この部分は内部や根は生きていますが、表面は硬質化して細胞は生きていない状態です。この表面部分が管理によっては腐りやすくなります。

第二の理由

大株の需要が高くなれば現地の人は木ごとなぎ倒し採取して来ます。大株が残っていればその分種子や胞子などから増えていきますから、現地資源も比較的安定して維持できます。
塊根多肉のような非常に成長の遅い植物ならまだ理解できる (理解できるとは言ってない)んですが、アリダマレカノに関しては種子からでも胞子からでも10年も適切に栽培すれば相当な大株になります。草姿も崩れることなく現地株のように栽培できます。成長の比較的早い植物なのです。
同じように山採りの大株を入手しても相当良い環境で栽培できない限りあっと言う間に不格好になります。

山採りについて

さて、ここでそもそも山採りがどうかという問題も繋がってくるので、私の考えを書きます。
自分たちの界隈は市場にあまりない、珍しいものや、そもそも金銭的な価値が全くわからないような未知のものを扱うことが多いです。
現地の人が普段は見て何も思わないものを採取してきて異国の地で販売しています。そして非常に珍しいものであればかなりの高額な価格で販売します。
元々はその国のそこに住んでいる人の資源。それを搾取しているんですね。
自分のやっていることは正直エゴです。しかし私はその自然や人をリスペクトしていますし、それこそ現地でしか見られない大きな植物やそれを取り巻く自然がいつまでもそこに残っていて欲しいと思っています。
そのために何が出来るのかと考えました。



まず現地への還元。
今は行けてませんがコロナ禍になる前、年2回ほどでしたが私は現地へ行き現地の人たちと共に山へ入り植物を採取してました。植物を採取するハンターは山奥の人の仕事としてありました。現地の人やその村の人すべてというわけにはいかないけれど、少なくともその人たちにこちらの利益が入るような仕組みを考えたい。
そう思って、契約農場のような形にしたいと、必要な経費を払ったり、その人から植物を買うようにしました。
現地に行けていない今でも連絡を取り合い、植物の採取や管理方法を教えたり、農場建設の費用や、植物採取が上手いハンターをその現地チームの別地域のハンターに教えるための遠征費用を払ったりしています。

ある時、これはパプアニューギニアの友人と連絡取ってた時ですが、子供の学校の費用が足りないから前払いで助けてくれないかと来たので、すぐに支払いました。そうするとしばらくした後に支払った証拠の領収書とか送ってきたりしてとても喜んでいましたね (詐欺の可能性が非常に高いので普通は真似しないでください。信頼関係のある友人です)。

私はお人好しなので自分が好きになった植物に関わった人は少しでも幸せになってもらいたいと心から願っています。


そして自生地の保護。
山採りしてる限り自生地の環境は破壊されていると唱える人もいますが、本当にそうでしょうか。
壊滅的な自生地の破壊は人間による植物採取よりも圧倒的に開発によるものです。
インドネシアではパームヤシ農園にするために大規模に森林が伐採されていますが、その理由はもちろんそれが仕事になりお金になるからです。国は国民の為に政治をします。自然を守るために政治はしません。自然を守っているところはそれが観光になったり国のイメージを良くするため行っていたり、何かしら利益がないと自然は保護されないのが現状です。

その地域で見向きもされなかった植物たちを採取しそれに金銭的な価値をつければ、それがお金になり仕事になり、自生地の保護に繋がると思います。
ただその為には、採れるだけ採って売ってしまうようなやり方ではいつか破綻し、仕事として成り立たなくなってしまいます。
漁業なんかでもそうですよね。ルールを守って持続可能な仕事にしないといけません。
私と現在やり取りしてる人ももちろん同じ認識を持っていて、持続可能な植物採取・販売が出来るハンターを集めて一緒に長く仕事していこうと話しています。
(自生地保護の観点はあくまで植物採取に関しての可能性の話です。無闇な採取販売を推奨してる訳ではありませんので誤解なく…)

思うこと

近年では草せどりなんて言葉が出来るくらい、自生地から輸入し転がして販売するだけの人が増えてきました。
その人たちはまず間違いなく現地の人の未来のことなど考えていません。そしてその植物を趣味としている人たちの未来も考えていません。

正直、販売方法などは法に触れない限りモラル云々はありますがその人の自由です。
でもその植物に興味を持ったり好きになったなら、その植物を好きな人から買って欲しいです。きっと健全に長く楽しめるはずです。

私はアリ植物が大好きです。この植物を趣味として長く楽しく続けたいので、まだまだ未熟ですが色々と考えて農園を立ち上げ運営しています。この先もたくさんのことを経験して都度立ち止まって考えて行動していきます。
共感いただける方は是非とも応援よろしくお願いいたします。

余談(第三の理由)

…ここからは最近の植物販売についての考え。

ベアルートでの販売って、前のブログでも書いたように問題ない場合もあるけど、ほぼ全部が全部ってどうなんでしょうね。そんな販売してる人がすごく増えたと思います。
主にアリ植物のことを書いてきましたが、インドネシアでは今はビカクシダがすごい勢いで輸入されていますね。熱帯雨林の植物なんて変化が早くて山採りの状態なんか維持できないのに、何故あんなに売れるのか不思議です。
販売業者が煽っているのもあるのでしょうね。

そうした販売者はほとんどノークレームノーリターンという無責任さ。生き物だからと言いますが、生き物だからこそプロのこちらが確かな目と技術で安全にお届けしますよ、何かあったら対応しますよが普通じゃないでしょうか。購入者は養生や発根が目的になってしまっていますが、楽しいのは栽培なんじゃないでしょうか。
もちろん植物の楽しみ方は人それぞれなんですが、それって本当に楽しいのかなって、特に塊根系の発根チャレンジ動画とか見てると思います。

まぁしかし、現地株のような既に完成されたものを入手したいというのはすごく良くわかります。
正直栽培が楽しくて植物始める人より、見た目面白いから、お洒落だからで始める人の方が多いでしょう。自分もそうでした。結局ここでこうした事を書いても始めたての初心者の目には届かないしあまり響かないと思います。でもそうした人が先述の販売者から購入してしまうんですよね…。

自分も色々考えて、やってることが正しいのかわからなくなってきました。
本当だったら特徴ある立派な株を販売したい。でもどうしても高額になってしまうし、中長期的な目で種親となる親株も確保したいし、…でもお金ないし…。
アリ植物が好きすぎて、興味持ってもらった人に失敗して欲しくないと思いすぎるあまり、他の人の入手する機会を減らしてしまっているんだろうなと。だからこそ無養生でも現地株の販売してる人は買いたい人が買うからいいんだと思って(言い聞かせて)ます。
過去にアリ植物枯らしすぎてトラウマになってしまってるのが原因なのでしょう…。あまり良くないですね。

…あとちょっと思ってることを書かせていただくと、悔しいのですね。どうやったら普及できるだろうと必死に考えて大金を借金して、それでもまだ利益になっていないのに自分がやらないでいる方法で利益になっているのがたまらなく悔しい。
その方法をとって苦しんでるのは自分なので、別に誰のせいという訳でもないのですが…。なんか本当に不器用で泣けてきます笑
同じことは出来るんですよ。ただただお金になるやり方。でもそれって自分のやりたいことじゃない。そんなことは誰にも言わず隠れても出来ません。

なんだか愚痴みたいになってすみません。
塊根多肉でよくあった大量の現地株ベアルート販売、いよいよ熱帯植物の方まで来て、農場立ち上げで苦しいのと合わせて色々と悩んでしまって。
農場ではそうした採取植物の中でも癖のあるものを育てやすくして販売するというスタイルなので、あまりに真逆の販売が多くて、大量に売れてて、自分がやってることって求められていないんじゃないかと思ってしまって。

まぁしかし正しさというか自分がどうしたいかに尽きますよね。事業って難しいですよね。理想と現実のギャップに毎日疲れてます。
でも頑張ります。



長くなりましたがここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。
そもそも育て方とか基本的な情報発信しろよという感じなので、引き続き頑張ります。

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