吐露

ほぼほぼ更新しなくなってしまったブログですが久々に近況など書いていこうと思います。
結構ネガティブ内容が多いですが、思い返してみれば大体半泣きで書いてました。
植物関係以外でも、経営者の悩みや苦しみが共感?されるようで反響が今でもあったので、備忘録としても書いていこうと思います。

さて、ここから暗い雰囲気になると思うのでご注意ください笑


最後に悩み苦しんだ内容のブログを書いたのは2023年の3月のこの記事。

これ以降特に何もなかったのかというとそうではありません。
農場を大きく拡大して本格的に生産活動をし始めてから大きな危機を迎えたのはハッキリ覚えているのだと4回あります。
うち3回は前述のブログ以降のことです。
2023年夏頃に起こった細菌病蔓延、2024年夏頃に自己資金で無理やりの規模拡大による資金ショート、2025年の年初めの暖房代による資金ショート。
特に細菌病の時は本当に終わったと思ってだいぶ病んでしまい、ブログにも書こうと下書きしていましたがあまりに内容が暗くて救いようがなさすぎて、
『これ公開しても何になるんだ…?とにかくどうにかしないといけないだろう』と無理やり前を向く為に全て消してしまいました。
思えばこれ以降、悩んだり苦しんでクヨクヨしていてもなんとかしないとどうしようもないだろうと思うようになり、書かなくなってしまった気がします。
なので別に書かなくてもいいのですが、もしかしたらこういうただ感情的で今の想いを綴っただけの稚拙なブログが、誰か悩んでいる人の励ましとか前を向くきっかけになったら嬉しいなと思いながら、少し思い返して書き残しておこうと思います。


自分が山採りや転売がどうのこうのと書き出した時は、正直言って全く余裕がない時で自分から買って欲しかったからです。
珍しい貴重なもので大事にしたいのに、これだけたくさん大変な思いをして信念持って生産しているのに(勝手にやっているわけですが)、価値もわからない奴が山から採ってきただけの立派な株をどんどん1円スタートで大量に出品されていく。
こんなの、何故うちの小さい株が立派な株より遥かに高価なのかを知ってもらわない限り、絶対買ってもらえるわけがないと、自分の信念と想いをありのままブログに書くようにしました。
この時期は夜なかなか寝れなかったし、ヤフオクも開くのが苦痛でした。
今生産している植物がまた1円で大量に出品されてる…これもか、うわこれも……。と、どんどん病んでいきました。
満を持して生産品を販売する時に、売れるように魅力が伝わる写真や文章で出品販売すると、その名前や説明文を使って販売されたりもしました。
野生株のよくわからないものを今までの知見をフルに使って同定したのに、あっさりその情報だけ使って販売されたり。

海外の業者にもその情報は抜かれ、山採り株のセールスに自分の写真と同定した植物名が使われる。
自分が仕入れたものは国内の転売業者に1円スタートで売られ、販売した時にはその写真や情報が抜かれ、魅力を伝えればその影響を使われ…と、真面目に誠実に販売しようとすればするほど損をする気持ちになり、そのうち情報はなるべく発信しないようになってしまいました。
新しく手に入れた時の喜びも発見も全てひた隠し、なるべく搾取されないように自分の中では古くなってしまって新鮮味を伝えにくい状況で、後追いされてもちゃんと利益を出せる形で周到に用意して販売するということをしないといけなくなってしまいました。
自分のSNSをよく見てる人はわかると思いますが、蟻植物農園なのにアリ植物の投稿の比率がだいぶ少ないと思います。それはこの為です。

同業の方々との飲み会でもこうした悩みは常に話していましたが、どうせそういった業者は消えていくから安心すれば良いと言われました。
それは確かにそうでしょう。現に今はそうした販売はだいぶ少なくなりました。でも当時は死活問題でした。

資金が無いので早く売りたいけど、新しく導入するものはとりあえず耐えて寝かせておき、ひとまず今売れるものを一生懸命魅力伝えて売っていこうと頑張っていると、次第にお客さんからの発信も相まって人気が高まっていったように感じました。
そうしたら、生産者が仕入れられるものを仕入れたりしてうちと同じものを販売するようになりました。そして、うちより安く、大量に販売するようにもなりました。
山採り現地株の養生品だったり、山採りでもない、下手したらうちより立派な株(海外農場生産品の転売だったり)。
自分の方がもちろん詳しいし、育て方だって知ってるけど、ただ商品が並んだ時にうちから買う理由って…?
『アリ植物よく売れていい植物だね』、とか言われると、他の業者の商品宣伝の為に今まで頑張ってきたのかと虚しくなりました。

盛り上がってくると大体そうなるというのは自分でも想像はしていましたがここまで精神的にキツいものだとはなかなかわからないものです。
なんとかしてうちを選んで欲しいと、品質のこともなるべく発信するようにもしました。時にはひどい売り方をしているものには噛みついて引用投稿したりもしました。
正直やっていて気持ちの良いものではないし、案の定他者を貶めるような投稿と言われたりもしましたが、選んでもらいたくて自分の信念を基準として否定するようにしました。もちろんそんなネガティブなことだけせずに自分もその想いと熱意を伝えられるよう商品や親株を綺麗に仕立てたりして口だけにならないよう一生懸命に栽培生産をがんばりました。

そうしたことを地道にしていくようになって、『同じものを売っていても伊藤さんから買いたい』と、少しずつ自分を選んでくれる人が増えました。
精神的なストレスは、同じ想いを理解してくれて集まってくれたスタッフに吐露して軽減することが出来ました。
資金面もなんとか最後の調達からは皆様のご購入のおかげで回復して、独立して6年目で今年初めて会社にお金を残しながら経営することが出来ました(めちゃくちゃ普通のことなのですが…)。
今年から温室建設で借りた大きな金額の返済が始まり、つい先日無事引き落とされました。

と、努力が実を結んだのか、何かたまたま良い流れに乗ったのか、兎にも角にも色々な方のご支援で少し余裕が出来ました。
自分が強くなったことと、余裕ができたことで、前みたいな悲痛な想いがブログで書き綴って消化される前に薄れてしまったのですね笑



この業界は自分にとってはとてもストレスなことが多いです。
信念を持つ人は少なく、どこが源流かもわからない流行を常に探して『売りたいもの』じゃなく『売れるもの』を売る業者。
つい先日もブーゲンビル島に行って憧れのSquamellaria kajewskii を見に行ってSNSに投稿した翌週にヤフオクで高額で山採り株が出品落札されたりしました。
めちゃくちゃ嫌だったけどこれもなんとか消化しました(今書いてしまってるけど)。
少し前から実生株売ってたら現地株がインドネシアルートで色々な国に輸出されていたのを知っていました。
自分で言うのも何ですが、良くも悪くも多少なりとも影響力持ってしまったので、人気が出たものは真似されるんだともう諦めて受け入れています。
賢いのかもしれなけど、でもやっぱりズルいですよね。こっちは頑張って魅力が伝わるまでじっくり丁寧に育てて見本写真撮ったり、時には大金叩いて現地まで行ったりして売りたいものを売ってるのに、 売れるようになったらそれを仕入れて販売する。
生産者飲み会で出会った一人が発した言葉で印象に残っているのは『何か売れる植物ないかな〜』です。
やっぱり自然のものだからでしょうか?他の業界では商品って仕入れ小売店でも無い限り自社のものがあってそれを広告なり使って魅力を伝えて売りますよね。植物販売業者って、そこのオリジナル園芸品種とかでもなければ大体どこからでも仕入れられるし、自分で作ったものでもないから魅力を伝えて販売するっていう当たり前の方法が欠落しているように思います。
BRUTUSの影響で売れるようになったんでしょとか、競合いなくていいねとか、売れないから安くするとか、いやそもそも頑張って良いもの作ってたらから取材来てくれたんだろうし、売れなくても好きだから頑張って売れるようにしたんだからそりゃ現状は競合いないでしょうとか、売れないのは価格じゃなくて魅力が伝わってないからではとか、何故か受け身的な考え方が多いです。
前職で自分はストロボライトという植物メディアの会社にいました。そこでは主に広告業のようなことをしていたのですが、そこで聞いた言葉を今でも思い返します。
『植物の業界は生活に必要不可欠ではない嗜好性のものなのに、衣食住という生活に必要不可欠な業界では当たり前の広告宣伝活動をしない業界』
ざっくりとこんな感じの言葉で、要は訴求しないとその必要性を感じないのに訴求しないということです。
残念ながら昨年の11月ごろに倒産しましたが、今では当たり前になってきているインスタライブ販売、YouTube、植物専門冊子などを使い作り、店舗や生産者に必要な広告代理店としてプラットフォームを作ろうとしていました。自分が退職したのは6年前です。時代が早すぎたんだろうなと思います。

よくわからず売れているものを売り、売れなくなったら安くして処分して次の何かを探す。みんな同じものを扱い、食い潰し、価値を下げるような行為に未来はあるのか疑問です。
経営的には正しいのかもしれない。でも本当に好きでやってる人ほとんどいないな、とここ数年思っています。

とまぁめちゃくちゃ偉そうなこと言っているので調子乗るなと言われそうですが最近思っているわけではなく独立当初の全然注目されていない時から思っているし、このブログは自分への戒めというか思い返しの為にも書いているので大目に見てください。
たまたま時代が良くて今はそれで売れているだけで、信念曲げなきゃ潰れるという場面もあるのでしょう。
その時このブログ自分で見返せたらいいな。


そろそろ締めようと思いますが、最後に2つ…
昨年、多分頑張りすぎて自分で気付けないほど精神が追い詰められていたようで、急に一部の返信連絡ができなくなってしまいました。
普通に怠惰だと思っていたのですがどうにもおかしいなと思って精神科に行ったところどうやら適応障害というものになってしまったようです。
現在は少し回復しましたが、1年以上経った今でも返信出来ていない方がいたりします。
拒絶したいわけではないのですが、返信出来ず本当に申し訳ないです…。

もう一つ、これまでの発信で、主に山採りとかですが思想に影響を与えてしまっていると思います。自分は一通り経験した上で自分の意思を持ち一部の扱いを否定しているのですが、その否定した扱いから学んだ部分は多いのにも関わらず、その経験を避けるようにしてしまっているのは少し申し訳ないなとは思います。
でも同じ経験をみんなした方がいいとは思わないし、そこまで考えられないなら宗教的ではあるけどひとまず自分の考えを信じてみて欲しいなと思っています。



誰でも同じものを扱える時代で、今年一年当農園の植物を選びご購入いただき本当にありがとうござました。
来年はさらに躍進の年と出来るよう頑張りますのでまたよろしくお願いいたします。

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